6つの空き店舗を、手漉き紙の細い通路でつなぎます。
トレホは、商店街の6つの空き店舗それぞれに、手漉き紙を吊りました。紙は店ごとに色と厚みが違います。書店跡は白く薄い紙、魚屋跡は灰色で厚手の紙です。紙のあいだには、人が一人通れる細い路地ができています。
紙の原料は、メキシコから持ち込んだ樹皮の繊維と、宵浜の古紙です。繊維が混ざった紙は、透かすと不規則な模様が見えます。光を通すと、通りの景色が滲んで映ります。紙は湿気を吸うので、雨の日は垂れ具合が変わる。
6店舗をすべて回ると、路地の幅が、1店目の80cmから6店目の40cmへ細くなっています。トレホは「狭くなるほど、人は声を小さくする」と話します。店ごとに小さな札があるので、順番に回れば地図なしでも迷いません。所要は約30分です。
6店舗の入口には、それぞれ異なる匂いの香を置いてあります。書店跡は紙の匂い、魚屋跡は潮の匂い、洋品店跡は布の匂いです。路地を歩くと、目に見えない手がかりとして、匂いが次の店を教えてくれます。

