廃船になった木の小舟に土を詰めて、草を育てています。
商店街の元魚屋の土間に、全長4.2mの木の小舟が置かれています。舟は漁港の片隅で15年放置されていたものです。瀬戸口は舟底に穴を開けないまま、泥と堆肥を詰め、近くの空き地から草の種を集めて蒔きました。
会期の初日はただの土でした。今は舟の中に、エノコログサ、カタバミ、スズメノカタビラが生えています。水やりは週に2回、スタッフが行います。窓から入る光が足りないため、天井には育成用のライトを吊りました。草が伸びる速さは、1日に平均3mmほどです。
瀬戸口は、漁師だった祖父の舟を解体する場に立ち会いました。そのとき「舟が最後に運んだのは何か」と考え、草と土に答えを求めました。会期後、舟は畑として使いたいという農家に引き取られる予定です。店先に立つと、潮の匂いと土の匂いが同時に届きます。
舟の艫には、会期ごとの草の写真が貼ってあります。初日、1か月後、2か月後と、日付順に並びます。最終日の展示では、もう一度同じ位置から撮った写真が貼られる予定です。

