床一面の漁網に、2か月かけて塩を育てました。歩くと結晶が鳴ります。
白い展示室の床いっぱいに、古い漁網が約90平方メートル広がっています。網の目の一つひとつに、塩の結晶がびっしり付いています。海水に網を浸して乾かす作業を、ソルヴァーグは2か月、繰り返しました。
結晶は部屋の湿度で育ちます。雨の日は縁が丸くなり、乾いた日は角が立つ。会期中も形が少しずつ変わるので、月に一度見ると別の景色に出会えます。展示室の床には細い通路があり、網を踏まずに端まで歩けます。
ソルヴァーグはベルゲンの漁村に育ち、祖父が使っていた網を、作品の素材に使い始めました。今回の網は、宵浜の漁協から譲り受けた廃棄予定の2枚と、彼女が持ち込んだ1枚です。3枚は網目の大きさが違います。目の細かいところほど結晶が密に育つ点を、足元で比べてみてください。
展示室の隅には、結晶の成長を毎日1枚ずつ撮った写真が貼られています。制作の途中で、網が部屋の湿気で溶けかけた日もありました。その失敗の記録も写真に残っています。

