天井から約480本の真鍮の棒が下がり、人が歩くと光の高さが変わります。
倉庫の天井の鉄梁から、長さ1.2mから5.8mまでの真鍮の棒を約480本、ワイヤーで吊りました。棒の先端はすべて、床から同じ高さの空気の層を指しています。海の満潮線を、空中に描き直した作品です。
真鍮は細い棒でも手の脂で曇り、窓の光を浴びると金から茶へと表情を変えます。会期の前半と後半では、色が違って見えるはずです。来場者の歩く風で棒がわずかに触れ合い、小さな金属音が倉庫の奥まで届きます。
栗林は金属を曲げず、切らず、長さだけを変えて並べる方法で制作してきました。前回は小学校の体育館に、2,000本の竹串を吊っています。今回は倉庫の高さ9mを測り、床に寝そべって見上げる位置を一つ決めました。入口近くの床に目印があります。まず立って歩き、そのあとで一度、仰向けに見てください。
棒の下端には、薄い目盛りが刻んであります。会期中に毎週同じ時刻に測ると、倉庫の湿気で真鍮がわずかに伸び縮みする様子が数字で追えます。測りに来るのは毎週木曜の朝、作家本人です。

