風のない日の海面だけを撮った18分の映像を、造船所跡の壁に映します。
18分の映像には、風のない日の海面だけが映っています。撮影は宵浜港の沖合で、夜明け前に行いました。波がなく、水面は鏡のようで、ときどき魚が跳ねて輪が広がります。
音は水面の下で録音しました。船のエンジンの低音が遠くから近づき、遠ざかります。エイリクスドッティルは、静かさを「何もない状態」ではなく、「小さな音が聞こえる状態」だと考えています。映写するのは造船所跡の赤煉瓦の壁、高さ4mです。
壁の煉瓦の目地が映像に重なり、水面が細かく区切られて見えます。観客は壁から約8m離れて立つか、斜路に座って見ます。上映は終日ループで、始まりも終わりもありません。風の強い日は、映像の水面と現実の風の差が大きくなります。
上映の合間、映像が一瞬だけ暗転します。暗転は18分のあいだにちょうど3回。長さは毎回異なり、3回目がいちばん長くなります。暗転のあいだは、水の音だけが続きます。映像の長さは、作家が宵浜の夜明けの長さに合わせて決めました。
